いろはブログ

素朴な疑問

素朴な疑問~Q16~ 訪問リハビリで印象に残っているケースは?








回答者:日吉さん(作業療法士)

日常生活動作は概ねご自身で行えていましたが、がん末期の診断を受けており、足全体の浮腫や活動時の
疲労感が強く自宅を歩くことも大変なため、歩行能力の向上や日常生活動作をスムーズに行えることを
目標に、訪問リハビリが開始となりました。

通院を続け薬物療法も併用していた他、なるべくご自身のことは自分でやりたいという気持ちが強く
日々の自主トレーニングも前向きに取り組んでもらえていたため、週1回のリハビリでもしばらくすると
ご自宅内の生活は無理なく遂行でき、庭木の世話なども行いつつ過ごされていましたが、通院以外で
出かける機会はなく過ごされていました。

リハビリ介入時に、以前はご友人とゴルフへ出かけるが楽しみだったとよくお話しされていました。
徐々に日常生活や歩行能力に対する自信がついてきたことや、ご友人からの声掛け・協力もあったことに
背中を押され、趣味の再開への意欲が高まり、リハビリは“ご友人とゴルフを楽しむことができる“ことへ
目標を更新。

スイングするための体幹の柔軟性を向上させるストレッチや、地面からボールを拾うためのバランスを
つける練習、ゴルフ場を最低限歩いて周れるための体力作りなど、ゴルフ経験がない私なので一緒に
試行錯誤しながら介入したことを覚えています。

そしてある日訪問に伺った時に「ゴルフ行ってきたよ!お風呂も入ってきて気持ちよかった!
楽しかったけど次はもう少し打ちやすいように…」ととても嬉しそうに報告してもらった一方で
次はさらに楽しめるようにするためにとご本人が考えてくれていることが私もとても嬉しくて!

闘病生活は私が想像するよりも大変な苦労もあり、もっとできたこともあったかもしれないと
考えることも多いですが、リハビリとしては最期までその方が楽しみを持って生活を送るための
お手伝いができたかなと思っています。

趣味を楽しむことが生きる活力につながるということをとても感じられた経験でした。