素朴な疑問~Q2.病院と訪問看護の看護師ってどう違うの?~岡部さん
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Q2.病院と訪問看護の看護師ってどう違うの?
回答者:岡部さん(看護師)
看護師とはどの様な事を行うか、皆様はご存知でしょうか?
具合が悪い時にお世話をしてくれる人と、漠然とお分かり頂けていると思いますが、実は具体的に法律で定められた条件を元に働いています。
『厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくは褥婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者』
以上の法の定義のもと、ナースは看護を提供しています。
なので病院ナースも訪問看護ナースも働く上でベースとなる条件は同じ、という事になります。
さて、前置きが堅苦しくなってしまいましたが…
地域密着型の訪問看護師を目指し、やっと訪問看護師の若葉マークが取れた私の主観ではありますが、病棟と訪問看護のナースの違いについてお話したいと思います。
まず大きく違う事として、患者様・利用者様と関われる時間が大きく違ってきます。
病棟ナースは所属する病院や部署によって違いはありますが、ナース1人に対して約7人の担当患者様を受け持ち、各々の投薬や処置、診察・検査の補助、バイタル測定や保清等ケアなど分刻みのスケジュールで動いています。
患者様と一対一で関われる時間は、在宅の最短介入時間である30分には中々及ばず、実際私自身も病棟勤務をしていた頃は「もっと患者様のお話しに耳を傾ける時間が欲しい…」と思っていたものでした。
訪問看護師として働くようになりお一人おひとりとじっくり向き合う中で、利用者様の人柄や生活スタイルを把握することが可能となり、どの様な生活を望まれているのか、今1番必要とされている援助は何かなど丁寧に考えることが多くなったように思います。
病棟勤務時代と比較するとよりきめ細やかなアセスメント(看護上の問題を分析すること)が行える様になり、個別性を持って看護ケアが提供できているのではないか、と感じています。
もう一つ大きな相違点として、看護を提供する場・環境が違います。
それぞれ、病院は入院し院内のルールに沿ってお過ごし頂く形となり、訪問看護は利用者様の住み慣れた環境に赴き、住み慣れた環境の中で看護を提供します。
病院では患者様の病状に合わせて即座に医師や他職種との連携が図れ、治療・看護が提供できる利点がありますが、病院の決めたルール、起床・消灯時間など生活にある程度の制限がかかります。
壁やカーテンで区切られてはいますが他者と共に生活をする事となり、その事が患者様のストレスや不安など様々なトラブルを引き起こす事があり、精神面のケアが必要となってくる場面が多々あった様に思います。
訪問看護では、利用者様の住み慣れた環境にお伺いし、それぞれの生活リズムを崩す事なくリラックスできる環境で看護を提供できる利点があります。
ただ病院のような最新の治療は難しく、限られた物品の中で行えるケアが中心となります。看護師自身のその場での判断力が必要となり、ナース1人1人のアセスメント力が必要となってくる部分です。
まだまだ他にも違いはありますが、私が訪問看護を行なってきた上で大きく感じた相違点を挙げてみました。
病院・訪問看護どちらにも一長一短はありますが…
私自身訪問看護に携わり、自分がナースになって提供したかった利用者様・患者様一人一人の想いを汲み取り、気持ちに寄り添った看護が提供できる現在の業務にとてもやりがいと楽しさを感じております。
訪問看護師としてはまだまだ未熟ではありますが、皆様の在宅生活において安心して生活できる支えとなれるような看護が提供できるよう、日々精進していきたいと思います。