これまでOT人生で印象に残っている体験~ベテラン助産師さんとの出会い
こんにちは。作業療法士の吉田です。
先週末はダイビング@西伊豆にて心も身体もリフレッシュしてきました。
ダイビングの魅力はたくさんありますが、それはまたどこかの機会でお話しできればと思います。
さて、本日は…僕のこれまでOT(作業療法士)人生で印象に残っている体験についてお話したいと思います。
ベテラン助産師さんとの出会い
僕がまだ作業療法士になったばかりの頃、急性期の病院で働いていました。
急性期とは病気やケガを患ってすぐの段階で、精神的に目の前が真っ暗になったように思われる方が多くいらっしゃいます。
ある日のことです。僕が担当した70歳の女性は、脳梗塞により右上肢が麻痺し、かなり悲観的になっておられました。
昨日までの自分とは180度変わってしまった絶望感…これから先どうやって生きていけばいいのか。病気や障がいを抱えた時、誰しも考える事だと思います。
彼女は僕に「この麻痺が治らなければ生きていけない。」と訴えられました。まだ新人だったこともあり、僕は、なにより麻痺の改善を真っ先に考えました。
しかし、話をするうちにの「麻痺が治らなければ生きていけない」という言葉の奥深くには「「麻痺が治らないと今まで生きがいとしていた仕事ができない」という想いがあることに気づきました。
ちなみにこの女性のお仕事は、助産師さんで50年近い経験を持つ大ベテランの方でした。
出産という人生の一大イベントの要になる職業。小さくもとても重たい命を預かる仕事。仕事内容を詳しくお伺いするうちに、彼女のプロフェッショナルさに心打たれました。
その一方で、
「麻痺が治らない事と仕事を続けられない事はイコールなのか?」
「麻痺はもしかしたら治らないかもしれないが、仕事を続けるにはどうしたらいいのか」
と考えるようになりました。
新生児を抱く事をイメージし、実動作訓練をスタート
療法士という仕事柄リスクは冒せないことが第一優先になります。ですのでそれらをクリアしつつ、(彼女の仕事を想定し)新生児を抱く事をイメージしながら様々な重さや新生児の首のグラつきも考慮して模擬的なものを用意しました。
そこからは、機能訓練は一切行わず、リハビリに対して後ろ向きな彼女に対して「将来僕に子供が生まれた時のために教えてください」とふざけつつ実動作訓練をスタートしました。
終いには「沐浴の作法がなってない!」と怒られる始末でしたが…(笑)。
訓練を続けるにつれ、彼女の表情は段々活き活きとし、麻痺が残る中でも彼女が復職の条件にしていた動作も問題なく行えるようになり、無事に退院されていきました。
言葉の奥の想いに目を向けることを大切に
彼女が退院後、しばらくしてから届いた手紙にはバリバリ現役として働いていること、そして「生きがいを取り戻せた」と綴られておりました。
こんなうれしい場面に関われるのがOTなのか、とOT観を見つめ直したきっかけになりました。
それ以来、言葉の奥の想いに目を向ける事、病気や障がいがある=諦めなくてはならない。ではないという想いを大切にOTという業務をおこなっています。
長くなりましたが、語りだすとめんどくさい奴です(笑)。
でも楽しく働いてます。しっかりふざけます。
もちろんプライベートも大切です。