素朴な疑問~Q23~【脳梗塞後のリハビリで大事なことはなんですか?】

作業療法士:吉田
脳梗塞とは、脳の血管が詰まってしまい、そこにいた脳細胞が血液不足で死んでしまう病気です。
一度死んだ細胞は残念ながら復活しません。
では、なぜリハビリで“できること”が増える人がいるのでしょうか?
実は脳にはすごい仕組みがあります。
脳梗塞で仕事を失った細胞の代わりに、周りの細胞が新しい仕事を覚えて引き継ぐのです。
イメージとしては、突然人手不足になった部署に、
「じゃあうちの部署から応援に行くよ!」と周りの部署から人が集まり、
OJT(研修)しながら仕事を覚えていくようなもの。
リハビリとは、この脳の“新人スタッフたちが仕事に慣れる過程”を
うまくサポートする作業なんです。
脳に仕事を覚えてもらうコツ
生活の中で“少しの刺激”を毎日積み重ねること
大事なのは、激しい運動より、「意味のある動きを丁寧に繰り返す」こと。
脳は“必要な動き”を優先して回路化するため、
生活の中の自然な動作がいちばん効果的な刺激になります。
脳が育ちやすい“生活の具体例”まとめ(統合版)
【食事】最初の“一口だけ”利き手で挑戦
- スプーンを持つ
- すくう
- 口まで運ぶ
- 落とさないよう微調整する
これだけで脳には複数の刺激が入ります。
「一口だけ」なら負担なく続けやすいのもポイント。
【立ち上がり】勢いではなく、ゆっくり丁寧に
勢いで立つと、脳はあまり働きません。しかし・・・
- 前に体重を移す
- 手すりや太ももに手を添える
- ゆっくり立ち上がる
丁寧に行うと、脳は“この動き必要なんだ”と覚えていきます。
雑な10回より丁寧な1回が効く。これは脳の鉄則です。
【歩行】“3歩+方向転換”が最高の脳刺激
10mをただ歩くより、家の中で3歩歩いて→向きを変えるを繰り返すほうが効果的です。
方向転換には・・・
- 体幹の安定
- 重心移動
- バランス調整
- 注意の切り替え
など多要素が必要で、実は脳の大好物の刺激。
【麻痺側の腕】“役割を持つ動き”で使いやすさUP
ただ動かすだけより、「意味のある動き」のほうが脳が覚えやすくなります。
- 一緒にタオルを絞る
- テーブルを拭くときにサポート手として使う
- コップを両手で持つ
“参加している感”があると脳の新人スタッフたちが育ちやすい。
【着替え】声かけ+ゆっくり誘導で学習スイッチON
- 「ここに手を入れますよ〜」と注意を向ける
- 袖口を一緒に確認しながら通す
- 苦手ポイントで一度止まって確認
注意が向くと脳は学習しやすく、成功体験が積み重なるほど回路が強化されます。
まとめ
脳梗塞で死んだ細胞は戻りません。
ですが、脳には“代わりの細胞が仕事を覚えてくれる仕組み”があります。
そのために必要なのは、大げさなトレーニングではなく、生活の中で“脳にとって必要な動き”を
少しずつ繰り返すこと。
今日の丁寧な1回が、明日の“できた!”につながります。
一緒に、“働ける脳”を育てていきましょう。
