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何気ないことから「その人らしさ」を実感したエピソード

こんにちは、看護師の宮脇です。

最近、ステーションでは、「その人らしさって何だろう?」と、なにやら難しそうな話がよく話題に登ります。

そんな時、ふと看護学校時代の実習での一場面を思い出しました。

看護学校時代の実習で私が担当した患者さんは…

当時、私が担当した患者さんは、がんを患う終末期の高齢男性で、自力では、身体を動かすことも話すこともできない状態でした。

見た目も、ひげは伸び、髪もボサボサに乱れていたのがとても印象的でした。

その方の奥様は、この方に毎日のように献身的に付き添い、何かしてあげたいと思いながらも、どこまで手をだしていいものか分からず、もどかしさを感じられていたようです。

そこで、私は、奥様に一緒にこの方の髪を洗うことを提案させて頂きました。

「昔はどんな髪型だったんですか?」

と何気なく尋ねたことから話が盛り上がり…

「この人はずっと七三分け。真面目で頑固で堅物でね。」

「他人に絶対弱みを見せない人だったんよ。」

など、旦那様が元気だったころの話をたくさん聞かせて頂きました。

洗髪も終わり、ひげも剃り、昔のように七三分けに整えた旦那さんの姿に奥様は、

「そうそう!いつもこうだったんよ!わかるじゃろー、真面目で頑固そうなのが!!」

と嬉しそうに笑いながら、目に涙を浮かべながら「ありがとう。」とお礼を言われました。

何気ないことから感じる「その人らしさ」

ご夫婦の歩んできた人生が、それを知らない私にも少し感じ取れるようでした。

すっきりした男性の顔が若干誇らしげに見えたのは私の自己満足でしょうか(^^ゞ

単に髪を洗うという清潔援助の中にも、その人らしさを感じることができる喜びがあるんだなと教えてもらった瞬間でした。

その方のこれまでの人生において積み重ねてきたものや守ってきたもの、あるいは今成し遂げようと頑張っているもの、そういうものを尊重しながらお一人お一人と関わっていきたいなと思います。